お菓子作りや料理の途中で、「バターが足りない…」と気づいて困った経験はありませんか？買いに行く時間がなかったり、少量だけ必要だったりすると、どう対応すればいいか迷ってしまいますよね。そんなとき、身近にあるサラダ油でバターの代わりができるのか気になる方も多いのではないでしょうか。実際、レシピや用途によってはサラダ油を使って調整する方法もあります。
ただし、バターとサラダ油は性質や仕上がりの傾向が異なるため、分量や使い方には少し工夫が必要です。置き換え方を誤ると、食感や風味に違いを感じることもあります。
この記事では、サラダ油でバターを代用する際の分量の目安や考え方を中心に、無理なく取り入れるためのポイントを分かりやすく解説していきます。
サラダ油でバター代用はできる？考え方と分量の目安
バターをサラダ油に置き換える際、一番気になるのは「どのくらい入れればいいの？」という点ですよね。まずは、代用を検討している方が抱きがちな不安を整理しながら、失敗しにくい基本的な換算の考え方を見ていきましょう。
「サラダ油 バター 代用 分量」で検索する人の悩み整理
多くの方が直面するのは「手元にバターがない」という物理的な不足です。しかし、いざ代用しようとすると「バター100gに対して油も100gでいいの？」といった分量の疑問や、「クッキーがベタベタにならないかな？」という仕上がりへの不安が尽きないものです。
バターは固形、サラダ油は液体という性質の違いがあるため、ただ置き換えるだけでなく、そのレシピにおいて油脂がどんな役割を果たしているのかを想像することが、納得のいく仕上がりへの近道となります。まずは「完璧な再現」を目指すよりも「油の特性を活かした新しい美味しさ」を見つける気持ちで挑戦してみるのがおすすめです。
基本の換算目安について
一般的に、バターをサラダ油で代用する場合の目安は「バターの分量の70〜80％」程度と言われています。例えばバター100gのレシピなら、サラダ油は70g〜80gにするイメージですね。これは、バターには約15〜20％の水分や乳固形分が含まれているのに対し、サラダ油は100％が油脂であるためです。同じ重さを入れると、油分が強すぎてベタつく傾向があります。
ただし、この数値はあくまで目安。クッキーなら少なめ、しっとりさせたいケーキなら少し多めといったように、レシピや用途によって前後することを覚えておきましょう。まずは8割程度から試して、生地の状態を見ながら調整するのがスムーズです。
固形油脂と液体油脂の違いが仕上がりに影響する理由
バターは冷蔵庫で固まり、室温で柔らかくなる「可塑性」を持つ固形油脂です。一方、サラダ油は常に液体の状態を保つ液体油脂。この違いが、お菓子の「サクサク」や「ふわふわ」に大きく影響します。
例えば、バターを泡立てて空気を含ませる工程があるレシピでは、液体であるサラダ油を使うと空気を保持しにくいため、少しどっしりした質感になる傾向があります。反対に、冷やしても固まらない性質を活かせば、冷蔵庫に入れても硬くならないしっとりしたケーキを作ることも可能です。油脂の状態が生地の構造をどう支えるかを考えることが、代用を成功させるヒントになります。
| バターの分量 | サラダ油の目安（約80%） |
|---|---|
| 100g | 80g |
| 50g | 40g |
| 10g（大さじ約1杯弱） | 8g（小さじ2弱） |
基本知識｜サラダ油とバターの違いを押さえておこう
代用をスムーズに行うためには、両者の個性の違いを知っておくことが大切です。成分や風味の差を理解すると、分量を調整する際の判断基準が明確になります。ここでは、「素材としての性質」に注目して解説します。
成分の違い（水分・油脂・状態）の考え方
バターには約8割の油脂のほかに、約15％前後の水分が含まれています。このわずかな水分が、加熱された際に蒸発して生地を膨らませたり、小麦粉のグルテン形成に影響を与えたりします。対してサラダ油は、不純物がほとんどない純粋な油脂です。そのため、バターと同じ分量を加えてしまうと、水分が足りない一方で油脂が過剰になり、生地がまとまりにくかったり焼き上がりが油っぽく感じられたりすることがあります。
代用の際は、この「バターに含まれる水分」の存在を意識して、油の量を控えめにしつつ、必要に応じて他の水分（牛乳など）で微調整するという考え方がポイントになります。
風味やコクの感じ方の違い
一番の大きな違いは「香り」と「コク」です。バターは乳製品特有の華やかな香りと、濃厚なコクが特徴。一方、サラダ油は無味無臭に近く、素材そのものの味を引き立てる役割を担います。お菓子や料理でバターをサラダ油に置き換えると、どうしても「あっさり」とした印象になりがちです。
これを「物足りない」と感じるか「軽やかで食べやすい」と感じるかは好みの分かれるところ。バターの風味を重視したい場合は、完全に置き換えるのではなく、一部だけを代用するなどの工夫を検討してみてもよいでしょう。
焼成後・時間経過による変化の傾向
焼き上がった後の状態の変化も面白いポイントです。バターを使ったお菓子は、時間が経つと油脂が冷え固まるため、しっとり落ち着いたり、少し硬めの食感になったりします。これに対し、サラダ油を使ったお菓子は、冷めても油脂が液体のままなので、翌日でもパサつきにくく、柔らかい質感を保ちやすい傾向があります。
例えば、シフォンケーキのようにふんわりした軽さを維持したい場合には、あえて液体油脂が選ばれることも多いのです。「当日中にサクサク食べたいならバター」「翌日もしっとりさせたいなら油を検討する」といったように、食べるタイミングに合わせて使い分けるのも素敵ですね。
サラダ油で代用するときの基本ルールと調整の考え方
実際にキッチンで代用作業に入る際の、実践的なルールをご紹介します。ただ混ぜるだけではなく、液体の特性を活かすためのコツを知っておくと、生地の扱いやすさがぐっと向上し、調理がスムーズに進みますよ。
バターをサラダ油に置き換えるときの基本的な考え方
バターをサラダ油に置き換える最大のメリットは「混ぜやすさ」です。バターのように室温に戻して練る手間がなく、ボウル一つでさらっと混ぜられるのが魅力。ただし、液状であるために生地の「まとまり方」が変化します。
例えば、クッキー生地ならバターよりバラけやすくなることが多いため、手でギュッと押し固めるように成形する工夫が必要になる場合があります。水分の有無を考慮しつつ、粉っぽさが残るようならほんの少し水分を足してみるなど、目の前の生地の状態をよく観察してみてください。正解を一つに決めつけず、柔軟に調整していくのが代用の基本ルールと言えます。
米油・太白ごま油などを使う場合の考え方
サラダ油と同じ液体油脂として、米油や太白（たいはく）ごま油もよく使われます。これらはサラダ油と共通点が多く、バターの代用としても優秀です。特に米油は酸化に強く、油臭さが残りにくいのが特徴。太白ごま油はごまの香りがせず、さらっとした質感で上品に仕上がります。
分量の考え方は基本的にサラダ油と同じく、バターの8割程度を目安に調整すればOKです。サラダ油よりもさらに「素材の風味を邪魔したくない」という場合には、これらの油を検討してみるのも一つの手です。
牛乳・ヨーグルト・マーガリンを補助的に使う場合の考え方
バターをサラダ油に置き換えた際、どうしてもコクが足りない、または生地がパサつく……と感じることもあるでしょう。そんな時は、牛乳やヨーグルト、あるいはマーガリンを補助的に使って「調整」する考え方が役立ちます。
例えば、油で足りなくなった水分の代わりに牛乳を数滴加えたり、ヨーグルトを少し混ぜて乳製品のコクを補ったりすることで、バターの仕上がりに一歩近づける場合があります。また、マーガリンはバターに近い性質を持つため、サラダ油と併用することで扱いやすさをカバーすることも可能です。これらはあくまで「補える」「調整する場合がある」ためのアイデアとして取り入れてみてください。
レシピ別｜サラダ油で代用する際の分量の目安と工夫
代用したときの仕上がりは、作るものによって大きく異なります。代表的なお菓子やパンを例に、どのような変化が起きやすいか、どのような点に注意して分量を調整すべきか、その具体的な「傾向」を見ていきましょう。
クッキーの場合の考え方
クッキーでバターをサラダ油に代用すると、一番の変化は「食感」に現れます。バター特有のホロホロとした口どけに対し、サラダ油ではザクザク、あるいはカリッとした軽快な食感になりやすいのが特徴です。
分量調整の目安は、やはりバターの70〜80％程度。油が多いと生地がだれて型抜きが難しくなるため、少なめから始めるのが無難です。リッチな味わいというよりは、素朴で毎日食べたくなるような、軽いスナック感覚のクッキーを目指すとうまくいきやすいでしょう。
パウンドケーキの場合の考え方
パウンドケーキにおいてバターは、空気を含んで膨らませ、しっとりとした重厚感を出す役割があります。これをサラダ油に代用すると、キメが細かく、シフォンケーキに近いような軽い質感に仕上がる傾向があります。
しっとり感との関係では、油を入れすぎると焼き上がりがベタつきやすいため、分量はバターの8割程度に留め、卵をしっかり泡立てるなどの混ぜ方の工夫でボリュームを出すのがポイントです。重すぎない、ふんわりしたケーキが好きな方にはむしろ好まれる仕上がりです。
パン・菓子パンの場合の考え方
パン作りにおける油脂は、生地の伸びを良くし、焼き上がりを柔らかく保つ役割があります。バターをサラダ油に代用しても、生地のまとまりや発酵への影響はそれほど大きくありませんが、風味の面ではあっさりとした仕上がりになります。
食パンのように毎日食べるパンなら代用に向いていますが、ブリオッシュのようなバターを楽しむリッチなパンには、少し物足りなさを感じるかもしれません。分量は、もともとのバターの量が少ないレシピであれば同量でもそれほど問題ありませんが、多い場合は8割程度を目安にします。
仕上がりに違いを感じたときの見直しポイント
「代用してみたけれど、なんだかイメージと違うな」と感じることもあるはず。それは失敗ではなく、次回の調整に活かせる貴重なデータです。ここでは、仕上がりの違和感を解消するための見直しポイントを整理します。
重く感じる・べたつく場合の考え方
もし焼き上がりが「油っぽくて重い」「ベタつく」と感じる場合は、まずは分量を見直してみましょう。バターと同量入れたなら、次は10〜20％ほど減らしてみるのが有効なアプローチです。
また、混ぜすぎによって油脂と他の水分が分離してしまい、表面に油が浮き出ている可能性も考えられます。乳化を意識して、卵などの水分と油を少しずつ丁寧に混ぜ合わせるように意識してみてください。さらに、使う油脂の種類をより軽いものに変えてみるのも、重さを軽減する一つの考え方です。
膨らみや食感が変わった場合の考え方
「思ったより膨らまなかった」「食感が硬くなった」という場合は、水分バランスと焼成条件に注目してみましょう。バターに含まれる水分がない分、生地の蒸気による膨らみが弱くなることがあります。これを補うために、ほんの少し水分（牛乳や水）を足して生地の柔らかさを調整するのが一つの方法です。
また、サラダ油を使った生地はバターよりも熱が伝わりやすい傾向があるため、焼き時間や温度をいつもより少し下げて様子を見るのも良いでしょう。工程が「液体油脂に適しているか」を一度立ち止まって考えてみてください。
風味が物足りないと感じたときの工夫
バターの豊かな香りがないことで「味が平坦」と感じるときは、植物性素材での調整例を取り入れてみましょう。例えば、アーモンドプードルを少量混ぜてナッツのコクを足したり、塩をひとつまみ加えて味の輪郭をはっきりさせたりする工夫です。
また、バニラやシナモンなどの香料を少し強めに使うのも効果的。バターの代わりを目指すのではなく、その素材に合った「風味の足し算」を楽しむことで、代用レシピが自分だけのオリジナルレシピへと進化していきます。
応用編｜混ぜ使い・完全置き換えを考えるときのポイント
最後に、さらに一歩進んだ活用術をご紹介します。バターが少しだけ残っている場合や、あえて油を使いたい場合など、シチュエーションに応じた最適な油脂の選び方をマスターしましょう。
バターとサラダ油を併用する場合の考え方
「バターの香りは欲しいけれど、扱いやすくしたい」という場合には、バターとサラダ油の併用が非常に効果的です。例えば、レシピのバターの半分をサラダ油に置き換える方法です。こうすることで、バターの豊かな風味を残しつつ、サラダ油の「冷めてもしっとり」というメリットを両取りできます。
混ぜる際も、バターを完全にクリーム状にする手間が半分で済むため、作業効率もアップします。風味と扱いやすさのバランスを自分でコントロールできるのは、手作りならではの楽しさですね。
完全に置き換えやすいケース・難しいケース
レシピの特徴ごとに、代用の難易度は変わります。置き換えやすいのは、もともと「溶かしバター」を使うレシピ。マフィンやパンケーキなどは、最初から油脂が液状であることを前提としているため、違和感が出にくいです。
逆に難しいのは、バターを泡立てて土台を作る「パウンドケーキ」や、冷たいバターを粉にすり込む「スコーン」。これらはバターが固形であることで生まれる食感が重要なため、完全置き換えには工夫が必要です。作りたいお菓子の工程をチェックして、判断の目安にしてみてください。
バター不使用レシピへ応用する際の注意点
バターを使わない「植物性のみ」のレシピに挑戦する際は、全体の構成を「向く・向かない」で整理することが大切です。バターを主役にするレシピを無理に油で代用するよりも、初めからサラダ油などの使用を前提としたレシピを参考にする方が、成功の確率は高まります。
既存のレシピを応用する場合は、これまで解説してきた「分量の8割ルール」や「水分の微調整」を基本としつつ、出来上がったものの良し悪しを自分で判断し、次回に繋げる姿勢が大切です。代用はあくまで選択肢の一つとして楽しんでください。
まとめ｜サラダ油でバター代用するときは分量と用途がポイント
サラダ油でバターを代用するのは、決して「妥協」ではありません。それぞれの特性を理解すれば、新しい食感や美味しさに出会うきっかけになります。大切なポイントを振り返ってみましょう。
- まずは目安を知る：バターの分量の70〜80％を目安にサラダ油を計量する。
- レシピに合わせて調整する：生地の状態を見ながら、水分を足したり混ぜ方を変えたりして微調整する。
- 合わない場合は併用や別案も検討する：風味や食感が重要な場合は、バターとの併用や専用レシピの活用も視野に入れる。
代用に「これこそが絶対の正解」というものはありません。今回の目安を参考に、ぜひあなたにとってのベストなバランスを見つけてみてください。きっと、お菓子作りや料理の幅がさらに広がっていくはずです。
